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君無き世界(倉庫)

イチウリ妄想暴走日記へのご来訪、ありがとうございます^^

恋雨SS またギャグかなぁ(汗)

  generation  gap



阿散井恋次が挙動不審だ。
普段なら『ドカドカ』とか、『ズケズケ』といった擬音語の似合う横柄な態度の彼が、部屋へ通し座るよう促すと胡座ではなく、正座をした時点で訝しげな空気が漂った。
視線はやや俯き、正座した両足の上で拳を握り・・・何というか、『オズオズ』・・・・・・違うか。
『モジモジ』・・・・・・気持ち悪い。兎に角はっきりしない、阿散井らしからぬ振る舞いだった。
目の前に出されたお茶にも口をつけず、極度の緊張がこちらにもウザいほど伝わり、いよいよ額に薄っすらと冷や汗らしきものが浮かび始めた頃・・・・・・僕は仕方なく助け舟を出す。
「何の用?ただ事じゃないのは君の態度でよく判ったから・・・・・・率直にどうぞ」
「う・・・・・・・・・・・・・・・・」
阿散井は一言だけ唸り、言いよどむ。
言いたい事は考えるよりも先に吐き出すタイプの癖に、これはよほどの事態だろうか?
「実は・・・・・・今日付けで俺は空座町の担当になった」
「え!?副隊長なのに?左遷されたのかい?」
「左遷て・・・そうじゃねえ。いや、そうなんだけどそうじゃねえ」
どっちなんだ??話が見えて来ないよ。
「名目上は左遷て事になってんだが、実際には違う任務で来ている」
嫌な予感がした。任務だというのに、何故僕の所へ来る。
阿散井恋次、君は一体何を言おうとしているんだ・・・・・・・・・。


「石田雨竜。滅却師であるお前を監視するために、俺は遣わされた」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、ぶっちゃけ。

監視用の菌をうえつけられるくらいなら、死神のが何ぼかマシだと思う。
ていうか、それハッキリ宣言しちゃって構わないのか?尸魂界、人選ミスだろ。
「すまない。抵抗したんだが、四十六室の決定は絶対だ・・・。抗いきれなかった」
「抗ってくれたのか・・・有り難う。監視にはどういった意味合いが?差し支えなければ教えてくれないか?」
「俺も詳しくは・・・・。常に補足出来る状態を保てと言われただけだ」
「君にも監視用の菌がついてる可能性は?」
「え?俺にか!?まさか・・・・え?まさ・・・・・・・涅隊長・・・・・・・・・・・・」
確率は高そうだ。僕に付いてた菌は浦原さんに処理してもらったが。
「普通さ、こういうのって隠密機動が来るんじゃないのか?何で副隊長で、色々迂闊な君を寄越すんだ?」 
「事が生じた場合、穏便に説得出来る相手・・・今お前に一番近しい俺が選ばれたらし・・・・・・ん?ちょっと待ておい、今迂闊って言ったか?」
「穏便に説得出来る?力尽くで黙らせる方が得意そうだよね」
「人を力技しか能が無えみてーにゆーな!本来この役目に付くのは死神で現世に居住を置き、石田とダチの一護が適役なんだが・・・・・あいつのがよっぽど無理だ!」
無理と言うか・・・・・・黒崎はこそこそと人の後を付回すのは嫌いだろう。
以前、堂々とつけられた事はあったけど、恐らくこの命令には嫌悪する。
そしてそれを命じた四十六室を、問答無用でどつきに行きそうだ。阿散井で良かった。
「黒崎はダチじゃない。ただのクラスメートで僕の嫌いな死神だ」
「・・・おいおい。一護の一方通行じゃねえだろ?虚圏まで一緒に行っといて今更何だ?」
「僕は井上さんを助けに行ったんだ。偶々行き先が同じだっただけだ。それより阿散井、監視ってどのくらいの範囲なんだ?余りプライベートには立ち入らないで欲しいんだけど・・・・・・」
「ああ、それな。当分ここでやっかいになるぜ」
・・・・・・・今、阿散井の台詞にまず耳が拒否反応を示し、信号が脳に達した時は脳が拒絶した。
やっかいになる?誰が誰の?阿散井恋次!ここに住む気か?!
「ふざけるな!何で僕を監視しようって奴を、僕が迎え入れなきゃならないんだ!断る!」
「しゃーねーだろ。四六時中、目を離すなと言われてんだ」
「君が申し付けられてる事なんか知らないよ!」
何でそんな、さも当り前のように自然体な訳?何で阿散井の中では監視対象にやっかいになるのが前提なんだ?信じ難い思考回路だ!
叩き出されるという想像はしなかったのか?莫迦なのか?
「待て待て石田!勿論只でとは言わない。当面の生活費だ、72,562円入ってる」
「・・・な、何でそんな細かい金額設定?」
差し出された茶封筒を困惑気味に眺める。受け取る=阿散井をここに置く、だ。
でも実は・・・・・・今月は思いがけない出費が嵩み、正直今すぐ現金を手に出来るのは有り難い。
「この金額で・・・・どれくらい滞在するつもり?」
「決まってねえ。足りない分はその都度払う」
「ご飯とかは・・・・・・」
「おめーの飯、美味いよな。ごちになるぜ!」
何で当り前のように言うかな?この見た目チンピラ、中身はチンピラも真っ青な赤毛の死神は。
「言っとくけど、ここに住むからには家事とか手伝ってもらうから」
「家事?俺ァ、飯とか作れねーぜ?」
「ゴミ出しとか、洗濯物を取り込んでもらったりとか、お風呂洗ったりとか」
「ああ、判った。それくらいなら・・・・浦原さんトコでもやってたし」


それなら話は成立という事で。
僕は遠慮なく茶封筒を受け取り、中身を改め・・・・・・・・言葉を失った。


72,562円。金額に間違いはない。日本銀行が発行した物にも間違いはない。
が!
福沢諭吉じゃない!野口英世じゃない!そして500円札なんて初めて見たよ!!
「これ、一万円札が聖徳太子だね・・・・。千円札は伊藤博文。わ・・・・・・昭和元年のコインだ」
尸魂界の情報網は大丈夫なのか?それとも現世が目まぐるしいのか?
「何だよ?使えないのか?」
不思議そうに覗き込む阿散井に、僕は説明した。
「ああ、いや・・・・・・使えるんだけど、まずは然るべき場所で売り払おう」
「売る??金を売るのか???」
「これは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・売れるよ」
「ちょ!お前今説明端折ったろ!!」
だって・・・・・・・『金を売るのか??』とか言ってる奴に、古銭の売買について話すの面倒くさいよ。
「そんな事より、煩いから黒崎には何も言わない方向で頼むよ?」
「言えるかよ・・・・俺が一護に食ってかかられる」
こうして突如やって来た阿散井恋次はいきなり爆弾を投下し、転がり込む事となった。


迷惑な。





2へ続く 恋次視点になります


 

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