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君無き世界(倉庫)

イチウリ妄想暴走日記へのご来訪、ありがとうございます^^

1000 リク 恋雨SS 『ai☆koi』



「井上、久しぶりだな?元気そうで何よりだ。」
「ふひゃあぁっっ!!」



あたし、井上織姫は、とんでもなく大事なことを今まで失念していた!!
でもでも、朽木さんの顔を見た時、唐突に思い出した!



石田くんは、朽木さんが好きなのだということを────!!!





                  ai☆koi

                ──── generation  gap 3 ────







「しかし井上。あれほど頓狂…驚きの声を上げるほど私と会えたのが嬉しいとは、私も井上に負けぬくらい嬉しいぞ。」
「あ……あはは。いやもうびっくりしましたとも!朽木さんは何でここに…現世に来たの?」
「うむ。兄様の使いで恋次に会いに来た。あやつが今こっちに来てる筈なのだが…井上は知らないか?」
「れれれっ、恋次くんっっ!!」
「……どうした?井上。何故どもる。」
はっ!朽木さんは、今、恋次くんが惚れ薬で石田くんとラブラブ状態なの、知ってるのかな?
「恋次くんは……石田くんちでお世話になってるよ…?」
「……石田の?そうか。」
穏やかに笑っていた朽木さんの表情が曇る。
やっぱり知ってるのかな?二人がそういうことになってるって。
でも石田くんが好きなのは、朽木さんなんだよ?石田くんはいいのかな……朽木さんに誤解されるかも知れないのに。あたしなら絶対、好きな人にそんな誤解されたら解きたいと思うよ。
「では井上。石田は今、何処にいる?」
「石田くん?は…えっと、お家かなぁ?あ、でも昨日、出かけるような事言ってたっけ?」
黒崎くんみたいに簡単に霊圧が察知出来れば、特定しやすいのに。
石田くんの霊圧はまず探す事は困難だし、恋次くんも割りと近くにいないと判別しにくい。
あれ?
その恋次くんポイ霊圧を近くに感じ……もの凄く近くに感じるんだけど??



「こんなとこで何やってんだ?お前ら。」
「お前らって…女性に対して失礼だろ?」



突然背後からかけられた声に、あたしは飛び上がって驚いた。
「きゃわ!れ、恋次くん?石田くん?」
え?え?偶然?凄い偶然!何これ何これ?!
何でここに恋次くんと、石田くんまで現れるの!!
「久しぶりだね、朽木さん。」
はああう!石石石田くん!!
「……そうだな、石田。恋次が何か粗相をしてないか?」
粗相って何?粗相ってどういう意味?粗相って、粗相??
「だだ、大丈夫だよ!朽木さん!恋次くんは、見かけに寄らず紳士だから!まだ大丈夫!!」
思わず叫んだ途端、三人がそれぞれ違う表情であたしを見た。
恋次くんが、『ちょっと待て!何言い出しやがる井上織姫!』 という顔で。
石田くんは吹きだして笑ってる……何で?
朽木さんは訝しげな視線を湛えて言葉を紡ぐ。
「……まだ、とは?何の話だ?井上…紳士って誰が?」
「恋次くん、石田くんと同じ屋根の下で、すっっごく我慢してるんだよ!そりゃもう、ご飯を前にお預けを何時間もさせられてる、軍用犬並みに!」
「誰が犬だコラ!」
フォ、フォローしたつもりなのに、恋次くんに怒られた…。
「阿散井……井上さんに悪気は無いんだよ。確かに君、ドーベルマンっぽいし。あながち間違いでもないじゃないか。」
そ、そうだよね?黒崎くんはシェパードだよね!
「…お前達。とにかく、立ち話もなんだ。何処かに落ち着いてから話そう。」




朽木さんにそう促され、あたし達4人はファミレスに入る事になった。




「いらっしゃいませー…。」
そうにこやかに迎えてくれた、ウェイトレスさんの笑顔が凍る。
不思議に思い周囲を見渡すと、お客さんもチラチラとこちらを窺っていて、逆にあからさまに目を合わせないようにしてる人もいる。
どっか変かな?今日は洋服を後ろ前にも、裏表も逆に着てないし……竜貴ちゃんに不興の面白グッズも特に携帯してないし。でも何か微妙にあたしの斜め上くらいに視線が絡む。
斜め上?
斜め上を確認すると、そこには恋次くんの姿があった。
みんな恋次くんを見てるの?大っきくて目立つから?今日は赤い髪をおさげにしてて、『赤毛のア〇』みたいで可愛いから?
それとも……おお!刺青?刺青を見てるの?
判る!この刺青の面白おかしいデザインは、一見の価値有りですな!!
「……井上。さっきから何ジロジロ俺を見てる。何か変な事考えてねーだろうな…。」
いきなり恋次くんにそんな風に指摘され、あたしは普通に受け答えた。
「ええ?違うよ?あたしはただ、今日の恋次くんの赤毛の三つ編みは、70年代の少女漫画のヒロインのようでメルヘンチックだなぁとか、刺青の模様の配置が絶妙で抱腹絶倒ものですなぁとか。そう思ってただけだよ?」
「考えてんじゃねえか。メルヘンってな…。何だ抱腹絶倒って?俺の刺青がお前の眼には、『ドラ〇もん』 にでも映ってンのかよ。」
「ふあっ!カ、カッコ良いそれ!!」
「…ふざけてんのか?本気か?」
「ふざけてなんかないよ?本気本気!」
「井上と俺じゃ、一生会話が成り立たねえと思うわ…。」
??何怒ってんのか分からないけど……。
霊圧は結構イライラしてるのに、声はちゃんと抑えてる。大人だなぁ~、恋次くん。
「喫煙席ですと、こちらのお席になります。」
席へ案内してくれてたウェイトレスさんが、ナチュラルスマイルで振り返る。
さっきまで凍り付いてたのに。あたしと恋次くんが話してる間に、何か良い事あったかな?
取り敢えずドリンクバーを頼み、それぞれ飲み物を取って来て一息吐く。
恋次くんはポケットからタバコを取り出すと、「いいか?」と一言確認をとってから、それに火を点けた。あたしの周囲にはタバコを吸う人がいないので、何か新鮮。
「さて、まずは私の用向きから話そう。恋次、兄様よりお主宛ての書状を預かって来た。これがそうだ。」
そう告げた朽木さんは徐に書状をリュックから取り出し、恋次くんの前に差し出した。
「おう…確かに受け取った。」
恋次くんはそれを上着の内ポケットに納めると、少し不思議な表情をした。
何か、嫌なお仕事なのかな…?そんな気がした。
「それで、先ほどの恋次の粗相の件だが……。」
「おい!何で俺が粗相をしたって話になってんだ?!」
「違うのか?井上の口ぶりでは、てっきりそうなのかと。」
「何にもねえ!つか粗相て何だ!?」
「石田と暮らしておるのだろう?お主のようにせっかちで気短な奴が、石田と平穏に同居出来てるとは思えんが?」
「グッ!」
「ほぉ~れ、やはり心当たりがあるのだろう?」
「ええ!?恋次くん!ジェントルマンだと信じてたのに!!石田くんに、あんな!そんな!口では言えないようなコト、しちゃったのっ!?」
……………あれ?何か静まり返っちゃった?だ…黙ってられなくて、ついまた叫んじゃったけど。
恋次くんは無言であたふたしてる。
「……恋次。石田と何かあったのか?」
「ねえっ!何んもねえよ!!」
朽木さんの問いに、恋次くんは強く否定した。そ、そうなの?
「石田?」
朽木さんが、今度は石田くんに問い掛ける。
そういえば石田くん、さっきからほとんど喋ってないよね?朽木さんの前で緊張してるのかな?
「恋次がお前に、何かしたか?」
えええ!!好きな人からこんなコト聞かれるの?複雑じゃない?石田くん……。
無表情で……静かにそこにいた石田くんの唇が、開きかけた時。
恋次くんが朽木さんの腕を乱暴に掴んだ。
「ちょっと来い、ルキア。」
加減してるんだろうけど、小柄な朽木さんの体は軽々と恋次くんに引張られる。
「何だ?何なのだ?恋次!」
「いいから来い!」
恋次くんが朽木さんを連れて、席を離れる。どうしたんだろう?恋次くん。
石田くんは石田くんで…何だか心ここにあらずな感じがする。
どうしよう……。朽木さんの事、好きなの、知ってるよって…言ってみようかな?
恋次くんには悪いけど、石田くんが好きなのは朽木さんなんだもん。
あたし、応援したい。よ、よし!思い切って、石田くんに聞いてみよう!
「石田くん……。」
「………あ、何?井上さん。」
やっぱり上の空。朽木さんのことが、気になるんだね?
「石田くん……あたし、石田くんに告白したい事があるの。」
「告白?」
「そう…、告白。」
俄に、あたしと石田くんの間に緊張が走った。
珍しく石田くんの霊圧が動揺している。僅かだけど感じた。
石田くんが冷静を装いながらコーヒーを口に含んだ瞬間、あたしは意を決して言い放つ。



「あたし知ってるよ?石田くん、朽木さんのこと、好きなんでしょう?」



ブハッ!!!
わっ!石田くんがコーヒーを吹いた!!そ、そんなに驚かせたかな…。
「だ、大丈夫?石田くん…ごめん、ごめんね?石田くんは誰にも知られてないと思ってたよね?こんな風に突然に聞くつもりはなかったんだけど……。」
「ゲホ!ゴホ!ゲホ!ゲホゴホ!!」
「わわ、石田くんしっかり!ま、まだあたし以外誰も知らないと思うよ?あたし黙ってるから!石田くんは朽木さんの前で、恋次くんとラブラブなの見られたくなかったんでしょう?だから今日は口数も少なくて……。」
「ゲホ!ゴホ!そっ!ゲホ!井上さ…ゴホ!ゲホン!」
「いいの!知ってるから…あたしに、何か出来る事ある?」
「ゴ…ゴホ!誤解…ゲホ!」
「大丈夫!あたしは味方だから!あたしが何とかしてあげる!!」
「い…井…ゴホ!待っ…ゲホ!」
あたしが新たな決意を石田くんに誓った、その直後。



ブワハハハハハハハハハハッッ!!!



絹を裂くような笑い声が店内中に響き渡った。
え?笑ってるの、朽木さん?ど、どうしちゃったの??
ギャラリーの視線を全てかき集め、二人は席へと戻って来た。
朽木さんは滝のような涙を流してる。でもこれ……どう見ても悲しみの涙というより、笑い泣き?
小刻みに震える両手を口に当て、顔を真っ赤にしてる。
「いつまで笑ってやがる、ルキア!」
恋次くんは怒ってるけど、朽木さんにどんな面白い事を言ったんだろう?
あたしにも教えてって言ったら怒られるかな?
「いや、恋次!石田!お前達の蒙った災難を、私はとても遺憾に思う。思うぞ………ブッ!」
「……笑い過ぎだよ、朽木さん。」
笑いの収まらない朽木さんに溜まりかねたように、石田くんがそれを諌める。
ナイス!石田くん!朽木さんと自然に話せてるよ!
「石田。恋次はこの通り無骨者だが、気はイイ奴だ。至らない所もあろうが、これからも良くしてやってくれ。宜しく頼む…………ぶはっ!!」
それからも朽木さんの笑いは治まらず、なかなか会話が成り立たなかった。
いいなぁ…あたしも聞きたかったな、恋次くんの笑い話。





 2へ続く→ 



■ あ!おさげって横に二つに結ぶんですよねまたこんなボケをかましてしまいました…。
私のイメージは後ろに一つに垂らした三つ編みです!そちらの恋次をご想像下さい。今更ですが


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