[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
■何だか寝付けなくて仕上げてしまいました。
■今日ジャンプ買いに行けるかなぁ・・・・眠い==;
+
+
+++++++++
「そんな・・・・何故、皇子がここに?」
思わず漏らした菖蒲の言葉に、僕は違和感の上に更なる疑問を重ねた。
この霊圧は間違いなく魂雷命皇子のものだ。
菖蒲は幾許か前、皇子が来ると言っていた。なのに、今はあの男の訪れが予定外のような口振りだ。
僕を捕らえていた男の手が離れ、自由になった指で黒崎に貰ったリングを握りしめた。男の気配は消え、空気に溶けたように紛れ、もう何の痕跡すら見当たらない。
皇子の来訪はハプニング?名前を使われただけなのか?
それとも手筈が違ってきている?
だがもし、皇子がこれと関係ないのなら。
動いているのは何者だ?
そして皇子は何をそんなに殺気だち、ここへと急ぐんだ?
─────ドンッッ!!!!
バルコニーの手すりが崩れ、奮迅が舞い上がる。
その中に、いつもの霊圧の質とは違う、例えるなら支配者のオーラとでも言うか・・・・周囲を圧倒する畏怖を纏い、皇子が立っていた。
「・・・・・・雨竜、こっちへ来い」
従わせる力を言葉に持っているような、抗い難い覇者の声。
思わず足を踏み出しそうになったが、僕の高すぎるプライドが辛うじてそれに抵抗した。
「雨竜!」
皇子が苛立ちを含ませてもう一度僕の名を呼ぶが、今はまだこの声に応じるには危険が過ぎる。この男は最初から得体が知れない。
愚かに見せていたのか、本当にうつけなのか、判ずるのは困難だ。
愚かに見せていたにしろ、皇子が僕を呼ぶのには裏があるとしか思えない。
この状況を打破すべく次の行動について考えたくとも、余りにも情報が不足している。
誰も信じられない。味方もいない。敵の見分けもつけられない………。
そんな僕の堂々巡りな思考を止めたのは菖蒲だった。
彼女は持っていた懐剣で、僕の心臓を突こうとした。
当然僕は飛簾脚で逃げる。そしてそのまま部屋を飛び出し、回廊をひたすら走った。
一瞬、皇子の霊圧が膨れ上がったが、直ぐにその気配は弾けるようにして消えた。
何が起こっているのかを確かめる余裕もなく、広大な結界に覆われた後宮のたったひとつの出口を目指し、僕はただ駆け続けた。
身を護る為の技は全て取り上げられ、残るは自分の決断のみ。
逃げるべきだと、本能が教える。
だが、一体何から?
煩わしい衣装を脱ぎ捨てても、この後宮から出られたとしても、僕の居場所はどこにもない。
黒崎はどうしているだろう。
王の居城の様子が知れず推測しか出来ないが、もしもここと同じように賊が入ったのなら、まだ見習いである黒崎は恐らく城の外での任務に就いてるだろう。
無茶してなきゃいいけど・・・・・。
僕に居場所はなくても、心の拠り所はある。
黒崎に貰った指輪を握りしめれば、やるべき事が見えてくる。
行き先は瀞霊廷でも現世でもない。
黒崎のいる、王の膝元だ。
後宮の唯一の出口である扉にたどり着く。
僕は震える手でそれを押し開けようとした。
瞬間。
何の音も無く、ただ力だけが僕の動きを止めた。
霊圧が扉を押すこの手を封じたのだ。
それに少し遅れて、僕の腕は風のように追いついた、皇子の大きな手に掴まれていた。
「我から逃げるな」
いつもの皇子とはまるで違う。
王族とは、これほどまで他を圧倒するものなのか。
命令が絶対であるかのように、指一本動かせない。声すら自由にはならない。
「王より戴いた指輪はどうした?」
指輪。
あれが一体何だというんだ?
「・・し、知らない男・・・が・・・・」
重すぎる霊圧で呂律が思うように回らない。
「盗られたのか。では、こっちは何だ?」
皇子が胸のリングを手に取る。
「・・・・・やめっ・・」
「オモチャだな。誰からのものだ?」
「そ、そんなの・・・・」
「王に賜ったものより、こちらの方が大切か?」
「・・・・・そ、れは・・・」
大切だ。いけないか?
今まで僕が手にした絹よりも黄金よりも、僕の命よりも大切だ。
「・・・・・あのジジイはやっぱむかつく」
「・・・・・・?」
「それで?お前の敏腕ボディーガードコンビはどこだ?」
質問と共に霊圧が消え、僕は肩で息をしながら何とか答えようとした。
「朝から見てない・・・・見ておりません」
「職務怠慢だな。ここぞとばかり左遷してやる」
何だか響きが子供っぽいぞ。
「まだそうと決まった訳ではございません」
「お前の側にいないという理由だけで十分だ」
「あんた・・・皇子こそ、こちらへは何を?」
「俺はジジイの言いつけで来た」
嘘だろ。
「王が僕・・・私の身を案じて皇子を遣わされたと?」
「実際、やばかっただろうが。さっきの女は拘束した。男の素性も直き知れるだろう」
「左様で・・・・・」
僕は今直ぐあんたからも逃げ出したいんだけど。
「色々面倒だったが、これで仕舞だ。雨竜、指輪を渡せ」
「・・・・・・・は?」
今の脈絡は?
「指輪は賊の手に・・・・」
「お前の胸のやつだ。忌々しい。俺がもっとすげーのやっから、他の男から貰ったそんなもん、とっとと外・・・」
「嫌です」
皇子にみなまで言わせず断った。
「あんなチンケな死神よりも、俺の方が100倍良い男だろうが!!」
気のせいか、話が低次元になってきたような?
「仰せの意味を図りかねますが」
「俺のものになれ!」
「謹んでご辞退申し上げます」
まだ掴んだままの僕の左手から、皇子の霊圧が流れ込んでくる。
伝える術を知らぬ子供のようだ。
必死で何かを掴もうともがいているような。
初めての恋に戸惑い、どうしていいのか分からず僕に喧嘩をふっかけた黒崎のような・・・・。
この皇子は、僕の事が、好きなのか?
本当に?
「・・・何をそんなに驚いている。今まで散々言葉にしたろう」
そりゃ驚くよ。
黒崎みたいな物好きが二人もいるなんて。
「まあでもその話は後だ。指輪を渡せ」
話が指輪に戻った。
左手は自由にならないので右手でしっかり握っていたが、皇子が力ずくでそれをもぎ取ろうとする。
何で?
これくらい、いいじゃないか!
ここに来て初めての大切なものなんだ!
何もかも取り上げないでくれ!
こんなにも、あんたたちの言うがまま暮らして来たんだ!
ひとつくらい、僕に自由なものをくれ!!
「雨竜様!!」
頭上から凛とした声が降ってきた。
撫子の声だ。間違いない。
「撫子っ!!」
助けを求めるような口調だったかも知れない。
撫子がそれに応える。
「雨竜様!これを─────」
何かが空を切り、僕に向かって飛んできた。
思わず指輪を離し、それを受け取る。
懐かしくも手にしっくりと馴染む、銀色のフォルム。
久しぶりに手にしたそれは、100年前僕が王に預けた筈の、滅却師十字だった。
■何だろう。これはこれで楽しいぞ、皇子×雨竜(笑)^^
■妄想してたのとちょい話が違ってきたが・・・・どうしよう。
■というか、本編が王族ストーリーになる前にとっとと終わりたい。恥ずかしいから・・・・・。
■話長過ぎ。同人誌作れるよ。懐かしいわ(怒)
■誤字・脱字・変文が心配・・・・・