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君無き世界(倉庫)

イチウリ妄想暴走日記へのご来訪、ありがとうございます^^

『恋の連立方程式』前編 一雨SS

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 恋の連立方程式  前編




「・・・・・だと、黒崎は絶食系に分類されるの?」
「ああ・・・あれは女に興味ありませんてポーズじゃないね。ホントに興味なさそうだよ」
「健全じゃないよそれは・・・・・・・」

クラスの女子の会話の中に黒崎の名前が出て、つい耳をそばだてた。

「井上織姫級が側にいて意識してる感じしないもんね」
「勃たないとか?」
「あの強面で?引くわ。でもさ、絶食男子てその内男色系に走りそうじゃない?」
「うわ!そっち?したら小島とか食われちゃいそうじゃん?」
「違う違う。小島は猛禽類っしょ。ヤられるとしたら浅野か石田だよ」

え??僕??
て言うか、話が見えない。
て言うか、その石田はすぐ近くの席にいるんだけど。会話丸々聞こえてんだけど。

「男色系に走った途端、肉食系に変わったりしてね」
「黒崎取扱い危険伝説に項目が増えるよ」
「じゃあ餌食系男子は石田で。ビジュアル的に」
「ビジュアルって言えばこないだ池袋・・・・・・・・今の内にトイレ行く」
「あー、行くしかないっしょ」

え?今の会話、どう成り立ってたの?話の途中じゃなかった?

「女子の着眼点てなかなか鋭いね」
「うわっ!!」

急に耳の後で声がしたと思ったら、こ、小島くん??

「着眼点?」
「あれ、今の女子の会話聞いてたんでしょ?」

聞いてたけど、どこの国の言葉か分らなかったよ。

「黒崎の話をしてたらしいのは辛うじて理解したけど・・・・・・」
「ふうん。ねえ石田くん、今日一護と二人だけで試験勉強するって本当?」
「ああ、そうだけど・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・そ。まあ何にでも初めてはあるから、頑張って

小島くん?初めてって何?妙な間は何?
昨日からの井上さんの気の毒そうな視線に、問い返す度胸がつかないまま今に至る。
確かに黒崎には何か、不穏なものは時々感じるが。
今朝は茶渡くんにも・・・・・・・

「昨日は試験勉強、はかどったか?」
「うん。でも黒崎が少し心もとないので、今日もマンツーマンで僕が教える事に・・・・・」
「え?二人きりでか?」
「・・・・・・??何?」

と、彼にまで井上さんと同じ霊圧で心配されてしまった。
みんなの言葉やリアクションを総合すると、どうやら黒崎一護は僕に話があるみたいだ。あるいは僕と何かをしたいらしいが、何かというのがハッキリしない。
皆から心配されてる所を見ると、僕にとっては迷惑な事なのか・・・・・・いや、厳密に言えばそれも微妙だ。僕に何かをしようとしている黒崎を、誰も止める素振りを見せないのもおかしい。
黒崎は一体、僕と二人きりになって何がしたいんだ?

「よう、石田。今日の予定だけど・・・・・・・」

黒崎が僕に話し掛けてくる。
特におかしな様子はない。普通に仲の良いクラスメートといった感じだ。

「勉強すんの、お前ん家でいいか?」
「え?今日は図書館が開いてるけど?」
「昨日・・・・・・・・外だと何か落ち着かなかったし」

まあ、確かにそれはそうだったけど・・・・・・でもあれはファミレスだからじゃないかな?

「図書館だと閉館時間があっから気になるし。お前ん家、駄目なのか?」
「駄目・・・・・・じゃないけど、帰りにスーパー寄ってもいい?」
「おお。今日・・・・飯、食ってっていいか?金は俺が払うから・・・・・・・」
「え!?」

夕飯食べてくつもりか?

「でも、家の人には・・・・・・」
「いらねーかもとは言ってある。石田の返答次第」
「家で食べたら?」
「何だよいいだろ?勉強する時間少しでも延ばしたいんだよ」

僕の返答次第の割りには強引じゃないか。
でも食費が少し浮く・・・・・卵、買いたい。後、ちょっとだけ値の張る白味噌も・・・・・・・・出来たら乾燥ひじきと味醂と牛乳も。普段なかなか買い足せない食料品の補充が出来ると思うと誘惑は大きい。

「何でも買っていいのか?」
「おお、いいぞ。てこたOKだな?」
「し、仕方ないな。何が食べたい?僕のレパートリーにあるものなら何でも作るよ?スポンサーの意向に沿うようにす・・・・・・・」
「え?買い弁じゃなくて、石田が作るのか?」

あ・・・・・・何だ、そういう意味。

「お弁当の方がいいならそれでも・・・・・」
「いや!食う!石田の手作り食いてえ!!」

ちょ!分った!分ったよ!作るから・・・・・・・・近い黒崎離れろ!!
そんなに興奮するほどの事でもないだろ?好きな娘の手料理ならともかく・・・・・・・・・・あれ?
井上さんの手料理、嬉しいけど嬉しくないかも。

「俺、肉食いたい!ハンバーグとか、生姜焼きとか!作れるか?!」
「問題ないよ。でもどっちかにしろ」
「じゃあ生姜焼き!うち洋食多いから、和食食いてえ!」
「いいよ。今日のタイムサービスは丁度豚肉だし」

・・・・・・・・・今、ギャラリーの霊圧が更に同情を深めた気がした。

何かあるなら教えてくれればいいのに、どうしてみんなハッキリと口にしてはくれないのだろうか。何故、無言で見守るだけなのか。
しかし僕からは強く訊けないニュアンスを感じる。
目の前で喜ぶ黒崎を尻目に、後で一番遠慮なく言いたい事をポンポン言える、本人自身に問い質して不可解を解する事にしよう。と思った。


中編に続く→


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