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お久しぶりのUPです。
3月中に間に合うだろうかと思いつつ書いておりましたが、やはり間に合いませんでした・・・・。
頑張ったんですけどね。まあいいや。(切り替え早いよ)
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突然の召集だった。
いきなり王の近習が先触れもなく後宮に訪れ、黒崎を本日付けで王の近衛の末端に加えると申し渡したので、黒崎が暴れる前に楓に押さえ込ませ、僕が抗議した。
王の勅命に対し、意義を唱えるなんて本当はしたくはない。
だが、僕にだってどうしても引けない大事もある。
「・・・・雨竜様。あなたが王の側室だからこそ、命令書一枚で済むものを、わざわざ足を運び口頭でお頼み申しておるのですぞ?」
「ご足労をおかけ致しまして恐縮です。しかしながらこちらも女しかおりませぬ故、三席を召されてしまうと心許なく存じます」
「はは、ご冗談を。楓と撫子がいれば死神千人に値しますぞ?」
「か弱き女性の身をそのように仰せですか?」
ちょっと苦しい言い訳だが、何とかそうとでも言い張らなくては。
『誰が千人力よ絞め上げるわよクソ爺ィ』←一応小声
「ん?何ぞ聞こえたか?」
「いいえ、何も。空耳にございましょう・・・・」
ちょ、黙っててくんないかな撫子!
この人を怒らせたら話が強制的に終了しちゃうよ!!
「雨竜様の御耳には届いておりませなんだか・・・・彼の三席は元々王専属の側近見習いとして参ったのです。こちらへは移動その他の手続きを終えるまでの配属で、事後処理が済み次第王の護衛に就く手筈にございました」
「────なっ!!」
知らされていなかったぞそれは・・・・。
「何よりそこの三席が、王の側近くの護衛を志願していたのですぞ」
そういえば・・・・・そんな話を最初の頃聞いた覚えがある。
僕にはもう、反論の余地はない。
「では、御了承頂けますね?」
「・・・・・・異存は、ありません」
楓に押さえつけられている黒崎に視線を移すと、腕には殺気石で出来た手錠がはめられている。
恐らく楓の力を持ってしても、本気でキレた黒崎を封じておくのは困難なのだろう。
黒崎は強い。
馬鹿だから度々窮地に陥るが、それでも特に命の心配はしていない。
僕が恐れるのは、黒崎が伏魔殿に棲まう有象無象の汚濁に巻き込まれ、彼の手を汚してしまう事だ。
「楓、一護を自由にしてやって」
楓が拘束を外すと、黒崎は王の近習に食ってかかった。
「俺は今、雨竜様のお側を離れる訳にはまいりません!!」
「雨竜様には他にも優秀な護衛はいる。だがそなたの代わりはいない。王の側近を育てるというのは特別なものと認識しておけ。お前は選ばれたのだ。もうお前の意思はお前の中には存在しない。全てが王の御心のままに有る」
「俺の意思は俺だけのものだ!誰の自由にもさせない!!」
僕の想いは僕だけのものであるように、黒崎の意思も黒崎だけのものだ。
だがこの不安定な王族の中で、どれだけ君は君を保てるのか。
ここにはもう、黒崎を助ける優しい人たちはいない。
真っ直ぐな黒崎が、悪意に満ちた王都でどれだけの自分を殺す事になるのだろうか・・・・・。
「言葉を慎め若造が。私は王族ではないが、貴様などに反論を許すほど卑しい身分ではない。もう一切の言葉は許さぬ」
黒崎に会えなくなる。
王の側近になるのなら、二度と会えなくなるのではないかも知れない。
それでも、君の優しい声が僕の名を呼ばなくなると思うと・・・・思うだけでこんなに辛いのに、そうなったら僕はどうなる?
また君を失う。
僕はまた、君を失うのだ。
ざわついていた黒崎の霊圧が平常に戻る。
そして僕の前に跪き、彼は無言のまま別れを告げた。
最初にここへ来た時の黒崎のように、その目はただ堅苦しく、生真面目なものに戻っていた。
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◇◆イメージソングは「ドナドナ」でしょうか?(笑)
大分終わりに近づいて・・・・・来たのかな?どうだろ?
昨日・・・もう一昨日か。
ドラえもんの映画観てきました。ギャグがなかなかセンス良かったです。
そしてsnowはあのへタレ主人公、のび太に敗北を喫しました。
映画の中の『のび太』の台詞。
「べ、別に君のこと助けたワケじゃないんだからね!たまたま僕が転んだ方向に、君がいただけなんだからね!!」(うろ覚えですが大体こんな感じ)
なんというツンデレの中のツンデレ!!
石田!君に足りないのはこれだ!!
デレとはこうあるべき見本だよ!!
それをかのメジャー漫画、へタレ主人公の代名詞のび太の中に教えられるとは思いもよらなかったが。
頑張ろう。頑張ってデレを目指そう。
黒崎くんの笑顔とささやかな幸せの為に。
・・・・・・・ちょっと自信ないけど。
買い物があったので、ついでに外で小説書いたら捗ってしまった。
自分は引きこもりが好きなのだと思っていたが、実はそうでもないらしい。
王は後宮へお運びになる度、僕や侍女たちに何かしらの手土産を持参される。
それは絹だったり、装飾品だったり、調度だったり。
宝石や金や銀・・・・綺麗だけど、僕を飾る物ではないと思う。
調度品についても、この椅子一脚で・・・・僕一人なら何百年食べるのに困らないだろうか?といった計算しか浮かんで来ない。
ただ、絹は嬉しい。
最高級のシルクを惜しげもなく、一着のドレスを仕立てる為だけに使い、最高級のレースで縁取る。
これだけは何より嬉しい。
黒崎が見たら無言になるようなデザインらしいが、それは黒崎のセンスがおかしいんだ。
「なあ・・・・・・それ」
朝から元気の無かった黒崎が、今日初めて自分から話しかけて来た。
「何だ?」
「その、珍しいな、お前が・・・・指輪してんの」
ああ、これか。
これは今朝方王より賜った物だ。
「そちはどうしてか、朕が授けた玉を身に着けてはくれぬな。気に入らなかったのか?違う職人に作らせようか?」
「Σいえ!纏うのが余りにも勿体無くて(ある意味本当)・・・・私の配慮が足りませんでした。職人に非はございません。どうか、よしなに・・・・・」
「左様か。では、これだけはいつも、身近に置いてくれぬか?朕の為に・・・・・」
と言って新たに賜ったのが、今左手の薬指に填めている指輪だ。
馬鹿でかい宝石もゴテゴテした飾りもなく、白金に小さな金剛石がいくつか埋められている程度の、至ってシンプルなデザインだ。
これなら僕でも、さほど抵抗無く着けられる。
「王に戴いた品の中では、これが一番地味な宝飾品になるかな?」
「へえ・・・・でもまあ、結構似合ってんぞ」
「そう?・・・・・・・・・そうかな?」
似合っているのか?
地味とは言え、女物だぞ。
「ちょっといいか?」
そう言って、黒崎がいきなり僕の左手を取った。
王太子から逃がす為、僕の肩に両手をかけた時以外では、初めて黒崎が僕に触れた。
流魂街にいた頃から気安く肩を組むような間柄でも無かったし、正直驚いた。
「・・・・・臣下が、側室に贈り物しても、別にいいんだよな?」
「構わない筈だが?」
第二皇子も何か色々持ってくるけど、全部クローゼットに押し込んで見向きもしていない。
時々どこぞの大臣だかがご機嫌伺いにやって来ては、やっぱり諸々の品を置いて行く。
だから別に良いと思う。けど。
「これ・・・・・そんな上等なもんじゃねえけど」
そう言って黒崎は、死覇装の襟に隠れて見えなかったチェーンを引き出した。
チェーンにはやはりシンプルなデザインの、ホワイトゴールドの指輪が通されていた。
「・・・・・何?」
「だから、お前にやるっつってんだ」
横柄な態度だな、この後宮に仕える侍女も警護の死神も。
勿論その方が、恭しく振る舞われるよりは楽だけど。
チェーンを手のひらで受け取ろうとしたら、黒崎が僕の後ろに回った。
「着けてやる」
着けるって、何だか本当に女性のように扱われてるな。
黒崎が僕を覚えていたならきっとはねつけただろうけど、僕を知らない黒崎に意地を張っても仕方がない。
それに、本当は、少しでも君に近づきたい。
今は楓も撫子もいないから。
ほんの少しだけ、君の息づかいを感じたい。
「ほっせー首・・・・・」
僕の首が細くて君に何か迷惑をかけたか?
心の中で毒づくが、実際には羞恥にうなじを薄く染めただけだ。
ドキドキする。
勿論本人に気づかれないようにはしてるけど、黒崎の指先がうなじに触れる度、僕は喜びに震えそうになる。
君が好きだ。
誰一人失いたくないという、我儘なくらい真っ直ぐな君が。
全部護ってみせるというビッグマウスを、有言実行した君が。
見た目がアレな割に、優しすぎて心も体も傷つく君が。
僕の事が好きだと言い、睨みつけながら返事を待った君が。
全て懐かしく愛しい。
黒崎が・・・もう二度と僕を好きにならなくとも、僕は忘れないから。
君が僕に告白したあの日の事は。
「えっと・・・・もういいぞ」
僕が振り向くと、黒崎が目を細めて笑った。
「ああ、似合う。お前・・・・綺麗だ・・・・・・」
最近よく言われるようになった形容だが、黒崎に言われるとまた朱が走る。
ドキドキする。止まらない。
君が好きでたまらない。
広大な中庭を見下ろせるバルコニーで、僕と黒崎は言葉を見失ったまま、見つめあった。
問いたげな瞳。薄く開かれた唇。
何だかこれ、良い雰囲気というかやばい感じというか・・・・・・。
君は何でそんなに、切なげに僕を見る?
「言ったわよね?雨竜様に手ェ出したらどうなるか・・・・・」
前触れもなく届いた撫子の声と同時に、黒崎は一瞬にして楓に組みしかれた。
「いってぇぇーーーっ!!!ちょ、ギブギブ!骨折れる!!」
「大丈夫、痛いのは今だけよ。直に何も分からなくなるから・・・・」
Σ怖いよっ!!
「待って!楓!!」
「危なかったですわね、雨竜様。私たちが戻るのがもう少し遅れたら、唇を奪われていましたよ。今処刑しますんで暫くお待ちを」
「わーーー!!楓!!黒・・・、一護は何もしてないよ?!」
「未遂で何よりでした」
「誤解だって!!一護にそんな趣味は無いから、離してやってくれ!!」
「雨竜様はそうお思いですの?」
「いやそうだって!!」
「・・・・雨竜様がそうお信じなら、もう何も言いません」
黒崎が見た目はか弱いが実は屈強な、楓の下から解放された。
「うおお・・・・びびった。戦車に上へ乗られたみてーに、びくともしなか・・・・・・」
また余計な事を言った黒崎は、楓に回し蹴りを食らい、美しく磨かれた床に勢いよく突っ伏した。