『 Boys Don't Cry 3 』 一護視点 一雨SS 2009年03月15日 3 一護視点 ─────無我夢中だった。 こういうのを、『振るいつきたい』 という衝動なんだろうか? 石田の抗議も拒否も、何処か遠くで鳴ってるサイレンのようで現実味がなく、今はただ、その唇を味わい、貪りたい。それしか頭に無かった。 逃げようとするのを追いかけて、追いかけて。 軋むほど強く蝶番を押さえて歯列を開けさせ、舌を差し込み、俺は石田を蹂躙した。 考えるよりも先に体が動き、自由にしてやりたい気持ちと食らい尽くしたい心とがせめぎ合う。 本能が理性を凌駕し、石田と心も体も繋ぎたいという本心が剥き出しになる。 キスについて具体的に想像した事はなかったが、石田とのそれは柔らかく、甘く、俺が今までに感じた事がないくらい美しいものに思えた。残酷なほどに・・・・・・・・・。 こんな事が出来る自分に、心の隅で驚く。嫌がる相手を無理矢理、理不尽に力で押さえつける。 男とか女とか関係ない、卑劣な行為だ。分かってんのに止められない。 「石田・・・・・・・好きだ」 俺は石田の耳もとで吐息のようにそう告げる。 だがそれを払いのけるかのような冷たさで、石田は拒絶した。 「この体勢で言うか?最低だな。僕が女の子じゃなくて良かったよ。好きとも何とも思ってない男にこんな事されたら、たまらないよ・・・・・・・・」 「お前にしかしねえよ、こんなヤバい真似」 「────僕にもするなっ!」 や、まあ、そうなんだけど・・・・・。 何て言うか・・・・・・・離し難い。ホントはこんな風に力尽くじゃなく、石田に触れたい。 でも絶対触らせてくんないよな、俺が普通にお願いしても。 「・・・・・・黒崎、手を離せ。まずは落ち着こう。君も、僕も」 落ち着く・・・・・俺、今そんな動揺してっかな?苦しくて、よく分からない。 掴んだこいつの手を離したくない。失くしたくない。 石田の白く滑らかな、形の良い指・・・・・・・・・・。 「わ───っ!!舐めるな!指を舐めるな!気持ち悪・・・・・・・黒崎ィィ!!」 抵抗が強まり、更に押さえつける。石田が痛そうに小さく呻いた。 俺は石田の顔を見た。傷つけたい訳じゃない。なのに、何やってんだ?俺は・・・・・・・・。 石田はひどく悔しそうな、裏切られたみたいな眼で俺を見て、言った。 「これ以上の行為に及ぶなら、僕も自分の身を護らなくちゃならなくなる。もう一度言う。手を離せ。そして落ち着いて話そう。僕は・・・・・・逃げたりしないから」 石田の言葉に、やっと理性が追いついた。 俺は石田を縫い付けてた自分の指を離そうとするが、強張っていて上手く解けない。 それでも懸命に指を外すと、石田の手首が鬱血してるのが見えた。 仕出かした事の重大さに漸く気付き、青ざめる。 「石田、悪い、俺・・・・・・・・・・・」 「君が正気に戻って良かったよ。もしこれを使う羽目になったら君は自業自得として、密着状態の僕まで大怪我をする所だった」 そう言って石田が銀筒をかざす。 持ち歩いてんのかそれ?あれだろ?何か爆発するやつ・・・・・忍者みてえだな。 まあ、石田が大怪我しなくて済んで良かったけど。いや俺も命拾いしたけど。 「まずは体に戻れ。そして場所を移そう。お腹が空いた、ファミレスで何か奢れ黒崎。」 「へ?いや、えっと・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい。・・・・・・・あ、ちょ、ちょっと待て・・・・・・・・・・」 「何だ?」 「治・・・・・・・まるまで、もうちょ・・・・・・・・・・」 「治まる?何が?」 「いやアレが・・・・・・・・・」 「────っ!!」 石田の見事な掌拳が俺の顎に炸裂した。死神の体だったけど、ちょっと気が遠くなった。 やっぱこいつと生身で喧嘩、ぜってーしねえ・・・・・・・・・・。 ファミレスで石田に遠慮はなく、こんなに食うのかってくらい注文しやがった。 これ全部俺の奢りなんだよな?致し方ないとは言え、今月は懐が苦しくなるな。 しっかしその細い体のどこに入るんだ?胃ィ壊さねえか?大丈夫か? 俺も一応、ギリギリ間に合ったランチを頼んだけど、こいつ食うの遅ェから手持ち無沙汰で・・・・・・・見るともなしに石田の食事風景を眺めてしまう。 ・・・・・・・何か、身の熟しが優雅っつーか。 弧雀をぶっ放してる姿とはえれぇ違い・・・・・・・・・いや、そうでもないか? あれはあれで、佇まいがこう・・・・・・衣装はともかく古風な感じが・・・・・・・・・・・・・。 「僕を無遠慮に見るな、黒崎。気持ち悪い」 ・・・・・・・お前こそ遠慮ないな! さっきの俺の行為とは関係なく、普段からこんなだぞてめえは! 石田が俺を好きになる可能性なんて無いのは分かってる。 でも、好きな気持ちまで捨てるこたねえよな? いつか思い出に変わるまでは、好きでいさせて欲しい・・・・・・・あ、何か想像したら泣けてきた。 こいつを忘れる俺が悲しくて泣く。 「ちょ!何泣いてるんだ?泣くなら一人になってから泣け!人前で・・・・・・僕の前で泣くな!」 「泣、泣いてねえ!」 「泣いてるだろ!・・・・・・ああもう。気持ち悪いなんて正直に言って悪かったよ!」 正直って・・・・・・・、追い討ち。 「・・・・・・黒崎。僕にどうしろって言うんだ?君の気持ちは分かったけど、突然過ぎて・・・・・・・どう返していいのかまだ整理がつかない」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?即答じゃねーんだ。 「君が真剣なのはこれ以上なく伝わった。考えるよ。君の気持ちをぞんざいに扱ったりしないから、少し時間が欲しい。多分、君の求める答えではないだろうけど・・・・・・・・・・」 同性に無理矢理抱きつかれて、キスされて、しかも相手がこいつの大っ嫌いな死神で。 それでも一生懸命相手への言葉を探すのか? 一言、「あ、無理」で済むことなのに。ホント融通の利かねータイプだな。 俺はてっきり一刀両断されるものと・・・・・・・・・・・・・・・・これって、つけこむ隙あんじゃね? 「・・・・・・・石田」 「え?」 「そういやまだ、ホワイトディのお返し、聞いてなかったな」 「いいよ。ここ奢ってもらったし」 「いや、これはさっきの詫びだから。石田もそのつもりで奢れっつったんだろ?」 「・・・・まあそうかな?」 「何が欲しい?何でも言えよ。出来る限り用意すっから・・・・・・・・・・」 石田が俺を見た。その眼は闇夜を明るく照らす、月と星を連想させる。 思わず釘付けになる。 「・・・・・・・・じゃあ、それ」 「・・・・・・・どれ?」 「今君が首にしてるチェーン。それがいい」 チェーン?首元に手をやると、確かに今日はしてきてる。 「別に構わねーけど・・・・・・お前、こんなんするのか?」 「いいや。でも何か貰わないと、君ずっと言い続けるから。鬱陶しい」 そんな理由で?!結構高かったんだぞ・・・・・・・・・・。 まあ、お前を飾るならちっとも惜しくないけど、してくんないのは寂しいぞ。 そう思いながらも俺はチェーンを外し、石田に手渡す。 「あ、リング付きなんだ。君のアクセサリーの趣味、悪くないね」 おお?石田が俺を褒めるなんて・・・・・・・珍しい。 嬉しいけど、明日地球が滅びたらどうしよう。 「入った。男ものなんだね、このリング」 「え!?」 見ると、石田の指にピッタリ嵌ってる。 俺にはちっさくて入んなかったのに、お前、指細いな。 シルバーのリング、似合ってる。意外だ。 「これでお返しも済んだね?ご飯も食べたし、帰るよ。ご馳走様」 「お・・・・・・・・おお」 あっさりしてんな。つか、もう帰んのか? 「ちょっ!ちょっと!」 「・・・・・・・・・・まだ何?」 少し引き止めたくらいで、んな嫌そうな顔すんなよ! 「デ、デニム作れるのか?」 「作れるけど?」 「俺に一枚作って欲し・・・・・・・・・・」 「断る!」 けんもほろろ?!おま、これは即答かよ!! 「勿論、材料費その他、払うから!!」 「・・・・・・・・・井上さんが言ったような出来を期待されても困る」 ああ?老舗ブランドがどうとかってやつか? 「俺はお前が作ったデニムが履きたいんだよ!!」 「ますますお断りだ!!!」 うわぁ・・・・・・・ものすご嫌悪を露にした顔された。凹む。 石田はもう振り返りもせず、席を立ち出て行った。ポツンと伝票だけが残る。 でも結局、酷く悪い結果にはならなかった・・・・よな・・・・・・・? こっそりと、自分に都合の良いように、胸の内で解釈する。勝手だな、俺は。 それでも諦めないで済むなら、済むかも知れないなら、頑張ってみたい。試したい。 『────石田を口説き落とす』 唱えてみると、めっさ不可能に聞こえる・・・・・・・・・・。 それでもやる!石田は迷惑だろうけど、恋愛は自由だ! ───と、誰かが言ってた気がする。 END ◆まずは誤字脱字ごめんなさい!! ◇ 気になってたんですけど!もしかして高校って、土曜日お休みですか??? ◆もしそうなら全力でスルーしてください!!あたし小説書くの向いてない??(泣泣) ◇今回一護がこんなで済みません(汗)でも本音を言うと、もっと即物的に書きたかった。 ◆ブログの限界てどの辺かなぁ・・・・・・。もう少しくらいならいいよね?何がだ!!(笑) RMT ストリーミング [4回]PR RMT ストリーミング [4回]PR" dc:identifier="http://snow9614.blog.shinobi.jp/%E4%B8%80%E9%9B%A8%EF%BD%93%EF%BD%93/%E3%80%8E%20boys%20don-t%20cry%20%20%EF%BC%93%20%E3%80%8F%20%E4%B8%80%E8%AD%B7%E8%A6%96%E7%82%B9" /> -->