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地獄篇観てまいりやした。と言っても今日とか昨日ではなく、6日(月)でしたが。
しかしネタばれはしません。
平日だったせいか、お客さんが10人にも満たなかった・・・・・まだ3日目なのに寂しいTT
音楽が良かったです^^
んでは、小説です↓
+++++++++++++++++++++++++++++++++++
後宮の入り口で不穏な霊圧を感じ、僕は浴衣を縫う手を止めた。
知っている霊圧だ。知りたくもなかったと言うべきか。
中に入れず悶着を起こしているようだ。
「・・・・・何か揉めてんのか?」
黒崎の問いは皆に向けられたものだが、撫子がそれを受けた。
「あんたはいいから持ち場を離れないで」
持ち場というのは僕の側という事だろうか?
「楓!」
「了解。さ、雨竜様こちらへ・・・一護、何があっても雨竜様をそこから出しちゃ駄目よ!」
そこって・・・・クローゼットの中?
クローゼットと言っても迷いそうなくらい広いけど。
「雨竜様に何かあったら・・・分かってるわよね?」
・・・・楓?それ、黒崎だけじゃなく、僕にも脅しかけてるよね?
暗に「大人しく入ってろ!」て言ってるんだよね?
ドンッ・・・という低い音と共に、先程の霊圧が後宮内に進入して来た。
それは僕の霊圧を辿りながら、ここに近づいて来る。
「・・・・なあ、あの霊圧、確か第二王位の何たらって奴じゃね?」
概ね当っているが、第二王位の名前くらいちゃんと覚えておけ黒崎。
「王の息子なのに、何であんな力尽くで入って来るんだ?そもそも何で門前払いされてんだよ?」
「あの力押ししか能の無い馬鹿王太子が、雨竜様に気があるからよ」
楓の説明に黒崎は絶句した。
でもそれは少し違う。彼は別に僕を好きでも何でもない。
道で拾った玩具を取り上げられ、癇癪を起こしているだけだ。
「もう持たないわね・・・こっちは手出し出来ないのにいい気になってクソ王太子!」
「待ってくれ!楓!撫子!僕が彼の相手をするよ。そうすれば穏便に済ませられる筈・・・・」
「それは私が嫌です、雨竜様」
・・・・僕に発言権ってあった事ないよね。側室なのに。
階段を早足で上がる気配がする。
それを諫めようとした侍女を殴ったのか、侍女は階下に落ち、怪我をしたみたいだ。
僕は悔しさのあまり唇を噛む。
今の僕はみんなを護るどころか、自分すら護れない。
「一護、奥へ!」
楓の指示に従い、黒崎は僕の肩を抱き強引に奥へ進んだ。
クローゼットの扉が閉まり、同時に今までいた部屋のドアが騒々しく開かれた。
「雨竜はここにいるんだろ?出せよ」
「これはこれは、第二王太子、魂雷命様・・・・」
「・・・・・誰が話してもよいと言った」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ここの女共はどいつもこいつも不愉快だ。ジジイの威光が届くと思うなよ・・・・今お前の心の臓に風穴を開けてやろうか?」
スラリ・・・と、鞘から剣を抜くような音がした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・命乞いもしないか、いい度胸だ」
「雨竜様は不在にございます。どうぞお引き取りを・・・・」
「側室がここ以外のどこに出歩くと言うのだ?」
「そう・・・・ここではない何処かでございます」
殺気が込められ、抜き身の剣に霊圧が宿る。
大丈夫だ・・・後宮内で血を流す事は、例え王族と言えど許されない。
あの男は馬鹿だけど、そこまで恥知らずではない筈だ。
「・・・・・・・じゃあな」
だけど──────!!
判断は一瞬だった。
僕は黒崎の鳩尾に肘を打ち、飛簾脚で撫子の前に出る。
「雨竜様!!」
「おお、お出ましか、側室殿」
撫子の胸からは一筋の赤い痕。
奴が本気だったかどうかは考えるだけ無駄だ。この男は容赦を知らない。
「相変わらず俺と目が合うと険しい顔になるな」
「普段からこんな顔です」
「普段から?いつもこんな決闘前みたいな顔してんのか?疲れないか?」
魂雷命皇子に両腕を掴まれ、力ずくでソファへと座らされた。
ここの侍女たちが傷つくくらいなら、いくらでもこの男の相手くらいするのだが・・・正直、結構しんどい。
男の僕の胸とか尻を触ってくるし、この間はキスされそうになり、流石にその時はひっぱたいてしまった。
「何でこんな色が白いんだ?ここまで白い女もそうはいないぞ?」
「そうですか」
女のように扱われるのも慣れた。
僕の手の甲を撫でながら、皇子が口づけた。
我慢我慢。側室への面会には時間制限がある。
どうせそれまでの辛抱・・・・・・・。
瞬時に、斬魄刀の切っ先が皇子の喉笛を捕らえる。
黒い斬魄刀。黒崎だ。
「・・・・・・雨竜様から離れろ」
黒崎の言葉に何ら動じず、魂雷命は訊ねた。
「何故ここに男がいる・・・・・」
この時、黒崎と王太子以外の誰もが焦りを覚えた。
僕と黒崎をクローゼットに押し込めておくつもりだった撫子などは、歯ぎしりの音がここまで聞こえてきそうで怖い。
後で絶対小言を言われる。
「王のご采配にて私の警備を務める者です」
「死神だな。卍解なぞして、俺を廃しようというのか?」
「滅相もない。この者は任務にただ忠実なだけにございます。一護、斬魄刀を収めろ」
「や、でも、雨竜様・・・・・」
「君が僕を護るのは皇子からではない」
この男の事は僕が対処出来る。
君は事を荒立てるな。僕には君を護るだけの権力も力もないんだ。
震える手で斬魄刀を収めた黒崎に見向きもせず、魂雷命は続けた。
「・・・まあいい。それより雨竜、覚えているだろうな?」
「何をです?」
「俺が王位に着いた暁には、お前を正室にしてやるという話だ。お前に初めて会った頃はまだ六位だったが・・・今は二位だぞ」
「謹んでご辞退申し上げます」
「何故だ?王の正室だぞ?ああ、そうか、後見人が必要か」
そうじゃなくて・・・もう僕の事は捨て置いて欲しい。
後、僕に仕事の邪魔をされ、不満そうな黒崎の霊圧もうっとおしいんだけど!
◆◆な・・・長い!続く!